「逐語録」という記録の方法があります。資格試験や学校の勉強で初めて見た人もいるでしょう。
日常生活で逐語録を作ることはほとんどありませんが、会話の振り返りや研究では様々な分野で使われています。
本記事では「逐語録とは何か?」という点から、文字起こしとの比較、そして逐語録の作成方法まで、逐語録について解説します。逐語録を効率的に作成する方法も確認してください。
逐語録とは?
「逐語録」とは、会話や発言の一語一句を忠実に記録した文章を指します。読み方は「ちくごろく」です。
「逐語記録」「逐語起こし」「素起こし」も逐語録とほぼ同じ意味の言葉です。こちらは記録した文章を指すほか、そのように文字にすることも意味しています。
逐語録の具体例
逐語録では、話し言葉に含まれている「あのー」「えー」などのつなぎ言葉や、語尾の「~ね」なども、そのまま文字で記録します。
例えば以下の通りです。
「えー、できたらねー、家で暮らしたいって思いますね、家族と。」
また、言い間違いがあった場合でも、逐語録では修正せずそのまま記録します。
用途によっては、沈黙があった部分は(沈黙)と書いたり、無言の秒数などを表記したりすることもあります。
逐語録を作る目的とメリット
逐語録は話し言葉をそのまま文字にするので、普通の文章とは違います。
このような逐語録を作るのには理由があります。
逐語録が主に使われる用途
逐語録を作るのは発言を正確に記録するためです。主に調査、検証、研究などのために会話を詳細に分析するときに使われます。
逐語録を使用する代表的なケースは以下の通りです。
・キャリアコンサルタントや心理カウンセリングなどの面談の振り返り
・看護研究や会話分析などの研究用
・電話対応のカスタマーサービスを検証
・商品開発のために実施したグループインタビューを分析
・裁判の証拠として音声データの内容を提出
逐語録のメリット
逐語録のメリットは、発言を正確に記録するため、口調やニュアンスをそのまま写し取れる点にあります。
また、発言を文字にすることで、客観的に内容を把握し詳細に分析できるようになるのもメリットです。
話し方や会話の癖などもつかみやすく、面談や電話対応のスキルアップにも役立ちます。
逐語録のデメリット
逐語録の一番のデメリットは読みにくいことです。口語で冗長な上に、「えーと」のような意味のない音まで書かれているので、文章の意味を迅速に読み取るのには向きません。
また、すべての音を正確に記録するため、自分で作成すると非常に時間がかかる点もデメリットです。
逐語録と文字起こしの違い
発言を文字にすることや文字化した文章を「文字起こし」または「テープ起こし」といいます。逐語録は文字起こしの一種です。
文字起こしには、文字にするときの加工度によって3種類の起こし方があります。
素起こし
素起こしとは逐語録とほぼ同じで、発言の「えー」や語尾の「~ね」まですべて文字で表記する起こし方です。
逐語録では沈黙などの状態を表記する場合がありますが、一般に素起こしというときには音の文字化だけを指すという違いがあります。
素起こしの例は逐語録と同じです。
「えー、できたらねー、家で暮らしたいって思いますね、家族と。」
ケバ取り
「ケバ」とは、「あのー」や「~ね」、「うーん」のような特に意味を持たない言葉です。
このようなつなぎ言葉(フィラーともいいます)や単なる相づちを省き、言い間違いなどを直して文字にするのが「ケバ取り」という起こし方です。
上の例をケバ取りにすると次のようになります。
「できたら家で暮らしたいって思います、家族と。」
ケバ取りで文字起こしをすると、読みやすい口語体になります。インタビューや講演・スピーチなど、話し言葉で内容を伝えるのに適した方法です。
一方、逐語録とは違い、話し方の癖や、その場の雰囲気などを読み取ることは難しくなります。
整文
さらに口語を書き言葉にし、正しい文章に修正して文字起こしするのが「整文」です。
上の例を整文にすると次のようになります。
「できたら家族と家で暮らしたいと思います。」
整文で文字起こしをすると、口調がほぼ消え、手早く読めて理解しやすい文章になります。
レポートや会議の議事録など要旨を伝える文章や、会話文以外の文章を作成するのに適しています。
文字起こしをするときには自分が必要な文字起こしのタイプを確認することが重要です。
逐語録の作成方法
逐語録を作成するには、まずICレコーダー等で会話を録音します。音が悪いと聞き取れないので、事前にテストしてクリアな音質で録音してください。
勝手に録音するとトラブルになる恐れがあり、事前に録音することを伝えるのがマナーです。
音声から逐語録を作る方法は以下の3種類があります。
自分で文字起こし
自分で文字起こしをするときは、録音を再生し、音を聞き取ってパソコンなどで入力します。
文字起こしツールも費用も必要なく、気軽にチャレンジできる方法です。
ただ、慣れないと少しずつ再生・停止を繰り返すことになり、時間がかかり根気が必要です。
特に逐語録を作成する際には、間投詞の「えー」や語尾の「~ね」なども書き起こすため、余計に長い時間がかかります。
自動文字起こしツール
パソコンやスマートフォンの自動文字起こしツールを使って逐語録を作成することができます。自動で文字起こしができ、人の手と比べて速いのがメリットです。
Googleのアカウントがあればすぐ使えるのが、Googleドキュメントの音声入力機能です。マイクで拾った音声をリアルタイムで文字にして表示・記録する機能で、対面の会話を録音せずに逐語録を作成できます。(但し、句読点や改行などは自動で入りません)
また、文字起こし専用のアプリやソフトも活用できます。こちらは録音した音声データをアップロードする使い方が中心です。
アプリ・ソフトには有料・無料のものがあり、文字起こしの精度や、対応できる音声の長さ、発言者を識別する機能などに違いがあります。
ちなみに、文字起こし後には、音声から文字への変換ミスや発言者などを修正・記入して逐語録を完成させます。変換ミスが多いと修正作業が大変になるため、自分が求めるレベルの品質を確認して選ぶのがおすすめです。
人の手による文字起こしを外注
もう一つの方法が、専門スタッフによる文字起こしを外注することです。
自動文字起こしよりも正確に文字起こしができて、逐語録作成にかかる時間や作業量を効率化できるというメリットがあります。
逐語録は語尾やつなぎ言葉まで記録するため、文字起こし後の修正にも時間がかかりますが、専門の会社に依頼すれば文字起こしの精度が高く効率的です。
また、専門用語もその分野に精通したスタッフが書き起こすことで正しく文字にでき、正確な逐語録を作ることができます。
正確な逐語録を作りたいとき、作成にかかる時間・手間を効率化したいときには、その分野で実績のある文字起こしの会社を選ぶのがおすすめです。
まとめ・逐語録は正確にかつ効率良く!
逐語録について、「逐語録とは何か?」という点から、文字起こしとの比較、そして作成方法まで逐語録について解説しました。
逐語録では会話や発言の口調やニュアンスも大切なため、語尾など細部まで正確に文字にすることが求められます。
このため通常の文章よりも時間がかかり、より効率的に作成することが必要です。
逐語録を作成するときは、使用目的に合わせて適切な文字起こしの方法を選択することが重要になります。
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