会議や打ち合わせ、顧客へのヒアリング、研修やセミナーなど、近年ますます需要が高まっている「文字起こし」。
できれば効率良く、高品質を保ちつつ低コストで進めたいものです。
本記事では、文字起こしの無料有料それぞれの方法の長所短所を確認しつつ、最適解を探す方の参考情報をお伝えしていきます。
文字起こしとは
「文字起こし」とは、音声をテキストデータに書き起こす作業のことです。「テープ起こし」や「書き起こし」などと呼ばれることもあります。
例えば、次のような音声を文字起こしするケースがあります。
・会議や打ち合わせ
・インタビュー
・講演やセミナー
・裁判法廷用の証拠素材
文字起こしの種類
文字起こしには、大きく分けて3つの種類があります。
「素起こし」「ケバ取り」「整文」と呼ばれるものです。それぞれどういったものなのか解説します。
素起こし
音声の内容を一字一句正確に文字に起こす方法です。「えー」「あのー」など特に意味のない言葉や、言いよどみの音も全て文字に起こします。話の趣旨に関係のない音も文字になるため、素起こしの文章を読んでも内容がつかめない可能性があります。一方、一言一句全て文字に起こすことで、会議や取材の現場にいた人が雰囲気や流れを思い出しやすいという特徴があります。
ケバ取り
「えー」「あのー」などの特に意味のない言葉や、言い淀みのある箇所などを取り除いて文字に起こす方法です。素起こしと比較すると無意味な文字が少なくなり、内容が把握しやすい文章になります。ただ、話した通りの順序のままなので、そのまま読んだときに十分にわかりやすい文章とはいえません。
整文
無駄な音や言葉を取り除いたケバ取りの文章をさらに整え、わかりやすくする手法です。整文では、言葉の順序の入れ替え、語尾・文中の表現の統一なども行います。音源で何が話されているのか、説明されているのか、その内容を正しく理解する必要があり、文章を適時修正していくため、素起こしやケバ取りよりも時間がかかります。
どの種類にするかは、用途やシチュエーションに合わせて決めるとよいでしょう。
文字起こしを無料で行うメリットと方法
文字起こしを行う方法として、次のようなパターンが考えられます。
①全て自身で作業を行う
②一部、もしくは全てを、無料の文字起こしのツールやアプリに任せる
③一部、もしくは全てを、有料の文字起こしのツールやアプリに任せる
④専門業者などに外注する
まずは、無料で文字起こしを行う①②のパターンについて考えていきます。
前提として、文字起こしにかかる費用は発生しないため(録音機器やパソコンなどの費用は除く)、一見コスト面でメリットがあるように思えます。
①②それぞれの手順・方法を整理し、確認してみましょう。
全て自身で文字起こしの作業を行う場合
全て自身で文字起こしの作業を行う場合、次のような作業内容になります。
・音声を耳で確認し、手作業でテキストにします。
・うまく聞き取れなかった箇所、確認したい箇所があれば、音声を巻き戻したり、再生スピードを遅くしたりします。
・どうしても聞き取れない箇所があった場合は、伏字を用いる、カナ表記で記載する、フォントを変える、「(聞き取り不能)」など記載する、タイムコード(該当箇所の時間)を記載するなどして、明確に残しておきます。
・「整文」のように、文章をわかりやすくまとめる必要がある場合は、全体的なバランスや流れを加味して整える作業を行います。
・作業後、文字起こしの内容に誤りがないか確認し、必要に応じて修正を行います。
すべて自分で文字起こしをするメリット
すべて自分で文字起こしをする場合のメリットとして、次のようなことが挙げられます。
・意図する文字起こしになりやすい:文脈の理解、求められている仕上げ方に対応した文字起こしになりやすいです。
・フレキシブルに作業できる:細かな修正を都度かけることができます。また、話し言葉特有のケバ、言い間違いや言い直し、不明瞭な部分も、人の力で確認であれば比較的柔軟に対応することができます。
・知識を活かして精度を高められる:音声の内容に知識がある場合、何について話しているか理解でき、単語の聞き取りや同音異義語との使い分けを正確にすることができます。
すべて自分で文字起こしをするデメリット
すべて自分で文字起こしをするデメリットには以下があります。
・時間と人的コストがかかる:人力で文字起こしする場合、1時間の音源で約3〜4時間、場合によっては10時間以上かかることもあるといわれます。
・人為的なミスの可能性:誤りや見落としといったヒューマンエラーも起こり得ます。特に長時間作業を続けた場合は、疲労でパフォーマンスが下がる傾向があります。
無料と聞くとお得に感じますが、実は高コストで大きな負担となっているケースも多いです。
一部、もしくは全てを、無料の文字起こしのツールやアプリに任せる
この場合、先に説明した人力の文字起こしの流れの「音声を耳で確認し、手作業でテキストに」をツールやアプリに委ねることになります。
自動で文字起こしされた内容をそのまま完成とするのであれば「全てを無料の文字起こしツールやアプリに任せた」といえます。自動文字起こしの内容を修正したり、編集する場合は「一部を任せた」ということになります。
一部、もしくは全てを、無料の文字起こしのツールやアプリに任せる場合のメリット
この場合のメリットに挙げられるのは次のようなことです。
・効率化、人件費削減につながる可能性がある
・多言語翻訳などプラスアルファの価値を得られる場合もある
一部、もしくは全てを、無料の文字起こしのツールやアプリに任せるのデメリット
デメリットには次のようなことがあります。
・音質によって精度が落ちる:自動文字起こしは音質に大きく左右されるといわれています。
・専門用語の聞き取りが難しい:特に、社名や人名といった固有名詞、専門用語、話し手が複数いる場合の聞き分けなどができないことが多いとされています。
・人による確認、修正作業は基本的に必要:精度は高くなっているが完璧ではないため人のチェックは必須です。「全てを任せる」ケースは稀であるといえます。
・精度の高いケバ取りや整文に対応していない:力を入れるサービスも増えていますが、ほとんどの場合、よく使用する単語を登録して学習させたり、手直しする必要があります。
・サービスによってはセキュリティ面に懸念:データをAI学習に使用しているものもあるため秘匿性を高く保つ必要のあるデータは要注意です。中にはセキュリティの安全を売りにしているサービスもあります。
無料で使えるツール・アプリで効率化が図れる可能性がある一方、人の手による精度の高さや、対応の柔軟さが失われる可能性があります。データの扱いの問題にも注意しなくてはいけません。
無料のツールには、決まった回数や時間だけ無料のもの(無料プランとして使用範囲が定められているもの)、全機能無料で使えるけれど音声や文字起こしのデータがオープンになってしまうもの(AI学習データとして活用するもの)があります。そのサービスを利用して問題ないのか確認が必要です。「無料だから」と安易に選んでしまわないようにしましょう。
無料の文字起こしが本質的に低コストなのか考えてみる必要があります。
文字起こしを有料で行うメリットと方法
有料で文字起こしを行う場合も考えていきます。
一部、もしくは全てを、有料の文字起こしのツールやアプリに任せる
この場合の方法のメリット・デメリットは、先の②「一部、もしくは全てを、無料の文字起こしのツールやアプリに任せる」とほぼ同様です。
有料だと、よりサービスが充実している、バックアップが期待できるといったことがあるでしょう。
近年は様々なサービスが誕生し進化を続けています。自分に合ったものを見定める必要があります。
専門業者などに外注する
文字起こしを外注すると費用は発生しますが、手作業のメリットを残して作業負担を削減
できます。ツールやアプリを用いる場合の懸念点を気にする必要もありません。
実績豊富な業者に依頼することで、高い品質も期待できます。
有料だからといって、必ずしも高コストであるとは限りません。デメリットなく効率化が図ることができれば、本質的にはコストカットにつながるはずです。
まとめ
いかがでしたか? この記事では、文字起こしを無料と有料の方法に分け、それぞれのメリット・デメリットについて解説してきました。
プロフェッショナルによる人力のテープ起こしを提供する専門サイト「コエラボ」では、
1分179円〜という低価格で音声データをテキスト化してくれます。
英語起こしにも対応しているため、グローバルなWeb会議の録音データもテキスト化できるでしょう。医療や裁判など、専門性の高い領域にも対応しています。
当日・翌日に仕上げる迅速な対応も可能なため、早急な文字起こしが必要な場合でも頼りになります。
ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか?